ということで、公開初日に見てきました。
来場特典は、謎少女五実(いつみ)のポストカードです。
このストーリーは、製鉄所の突然の爆発により、一つの町が、煙に覆われて、その煙に閉じ込められてしまったというものです。
そこでは、時が止まり、季節も変わらず、年も取らず、町の方針で、変わらないことが決まり、毎日同じ日々を過ごしているという状況です。
つまり、製鉄所の爆発から、何ヶ月、いや、何十年経ってるかもしれませんが、変わらないことに抵抗する思春期の少年と少女の青春物です。
タイトルの工場は、爆発した製鉄所のことですし、まぼろしは、ネタバレなので伏せます。
残りのアリスとテレスですが、登場人物にアリスもテレスもいません。というか、最後まで出てきません。
では、なぜこういうタイトルにしたのか。恐らくは、哲学者のアリストテレスとかけているのではないかと思われます。
そして、アリス(少女)とテレス(少年)という意味もあり、アリスといえば、ワンダーランド(まぼろし)、テレスは現実という意味もありますね。
アリストテレスについては、提唱していたエネルゲイアについて語るシーンがあります。
とある評論で、エネルゲイアとは「恋することで得られる真の幸福感」というのがありました。一部を引用します。
> この2人にとっては恋こそがエネルゲイアでありエネルゲイア=真の幸福を味わう
> 瞬間にこそ、人は爆発的な力を発揮することが映画では描かれる。
そして、主人公が中3で、同じくらいの年齢の謎少女が現れます。だが、言葉が幼い状態です。
逆算すると、何年町の人間は、煙の中に閉じ込められているのかという映画を見た人だけわかる謎の言葉を残しておきます。
といっても、中学3年で車の運転をしていましたので、最低でも3年以上は経っているのはわかります。
妊婦さんとかだったら、いつまで経っても子供が生まれずに、ずっと妊婦さんのままなので、ある意味一番辛い役回りになると思います。妊婦さんは出てきてはおりませんが。
あと、テレビやラジオは、ずっと同じものが毎日流れるようなので、住民の誰もが発狂もせずに、それを受け入れているのも、ある意味狂気を感じます。
煙(止まった時間)からの脱出がメインなのはわかると思いますが、テーマは別にあるというわけです。
主題歌の中島みゆきの「心音」ですが、サビが思い切りネタバレしていますね。ラストのあのシーンが思い浮かんだ人が多いのではないかと思います。
他の歌詞もネタバレしていますが。
とここまでいろいろと書きましたが、設定が似ているのがあることに気づきました。
それが、涼宮ハルヒのエンドレスエイトです。
京都アニメーションの黒歴史……なのは置いとくとして、エンドレスエイトは、夏休みが終わってほしくないから、8月31日を何万回もループするという話です。
ここでは、9月1日の午前0時になった瞬間に、人々の記憶から8月31日の記憶がリセットされて、時間が巻き戻るので、多くの人はループしていることに気づいていないというものです。
逆にリセットされずに気づいているのが、このアリスとテレスです。
明日は来ずに同じ1日をループし続けるわけですから、退屈どころか発狂する人は出てくると思いますが、それを平然と受け入れていることが謎です。
他にも、疑問点がありますが、そこは見る人の想像で補うという形ですね。